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​五感が喜ぶ音楽会を終えて。
8月12日(sat)大阪府岸和田市の歴史的文化建築物、自泉会館にて植物がメロディを奏で、即興芸術家たちとセッションする"五感が喜ぶ音楽会"を開催した。私の映像参加は5月の夙川公演に続いて2回目。今回は夏休み公演で会場も広くダンサーも1人から2人に増えたので映像に簡単な物語をつけようと、第1章の朗読会を含めた総合演出を担当することになった。五感シリーズは2度目ということもあり、即興レベルは高く何にでも対応できるとのことで、芸術家たちの個性を活かす演出構成だけに専念できた。
 
薔薇のメロディに誘われて少女(人間)が迷い込んだ森には精霊たちが住んでいて、自然を讃える音楽会が行われていた。心がピュアな少女にはそんな精霊たちの姿が見えるという設定。シェークスピアの「真夏の夜の夢」をベースにストーリーを組み立て映像を編集して、即興芸術家たちにイメージを伝えた。上演時間35分〜40分予定で、簡単な流れを確認するためのリハは当日の1回きり。当日初めて顔合わせした出演者たちは、自分の登場タイミングを私と映像で確認しながら本番に臨んだ。人生にリハはない。みな即興で生きているわけで、ストーリーという軸はあってもメッセージの伝え方はそれぞれ違っていいと思っている。なので少々パフォーマンスが長引いても、映像でカバーする準備はしてあった。
本番が始まれば、映像を止めるわけにはいかない。。会場後部でプロジェクターをオペレーションしながら、演者たちにアナログ(身振り手振りで)でタイミングを必死で伝える私。はたから見ればかなり危ない人のようで面白かったと思う(笑)あっという間に無事にエンディング、少女が薔薇に感謝のお辞儀をして森を去っていく。セリフもなくストーリーを知っているのは私だけと、静寂の空間に(素敵な時間を過ごせたことに)最初に拍手を贈ったのは私だった。薔薇も音楽会のあいだ、楽しそうに歌ってくれていた。植物の命、自然への感謝が伝わったなら嬉しい。
演劇部で脚本演出していたのは大昔(笑)。そっちの道へは進まずにデザイナーになった今でも舞台が大好きでNYに行くと、本場ブロードウェイを何本もハシゴして観てしまう。最近はブロードウェイもデジタル舞台美術が全盛で、いつかアートイベントで使いたいと考えていた。デザインはファッションやweb、広告、プロダクトなどなど見えるものだけではなく、空間や流れをデザインすることも大切。五感が喜ぶデザインが頭から離れずに、美しい夏の植物映像採集に明け暮れた2ヶ月は終わった。引き出しにしまっておいたステージノウハウが、ここで役に立つなんて、人生は最後までわからないものです。
2017年8月12日公演開催。
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